題名のない文章たち

日記のような、そうでないような、そんなただの文章のあつまり

無力

彼は頭が痛いと私のベッドでずっと眠っていた。ときどき頭の痛みに顔を歪めて寝返りをうつ。私はその隣で何もできずに本を読んでいた。何もしてあげられないのならば、せめて自分のためになることをしようと、読んでいたのだった。ときどき寂しくなって、彼…

陳腐

たまに、自分の書いたものを読み返す。読み返すのは好きだ。書いている時は、何かに急き立てられているようにがむしゃらで上手いか下手かなんて気にならない。しかし読み返すと、なんだこんなくだらないことをだらだら書いていたのか。と少し面白くなってく…

2人の朝食

今週のお題「一番古い記憶」その時のことを思い出すといつも必ず私は私を俯瞰して見ている場面ばかり浮かぶので、私自身にも夢なのか加工されてしまった記憶なのかはっきり分からない。でも、確かに母と私と2人でテーブルの前に座っている。私は朝ごはんの食…

幸せ

一緒に不幸になってもいいと思える人が、隣で眠っていて、私は寝息を聞きながら本を読んでいる。少し前にご飯が炊けた。お味噌汁もできている。ああ、なんて幸せなんだろう。こんな幸せな時間が永遠に続けばいいのに。続けばいいのに。

かっぱへの手紙

この時期本屋へ行くと必ず読書感想文コンクールのための課題図書が並んでいるのを目にする。それを見るといつも小学生の頃のことを少し思い出す。 小学校に入学し、しばらくたって図書館の貸し出しカードをもらい本の借り方を教えてもらってから夏休みまでの…

夜に

夜に寝つけないときがよくある。 悲しいことがあったとき、苦しいことがあったとき。ただ、ただ生きているのがしんどいとき。そして、特に何も理由がないとき。 寝付けない時はどうやっても眠れない。 そして、よく考える。 どうして私は今ここで生きている…

物書き

文章を書いて生きていきたいと言うと必ず止められる。そんな者になれるのはほんの一握りの人間だけだと。儲からないからやめておきなさいと。実際に文章を書いて生きている人にさえそう言われる。私は聞きたい。では、なぜあなたは儲からないのに生きていく…

お金

本を買うためだったら、お金は湯水のように使おうと本屋で今大変話題になってる本を立ち読みしながらふと思う。私の持つお金は本を買うためにあるのだと。

いい人

改札の前で車椅子に乗った女性がずっと待たされていた。落し物を受け取りに来たであろうまた別の女性は持ち主であることを証明するための書類をずっと荷物の中からだらだらともたもたと探している。駅員はジレったそうにその落とし主を眺めていた。車椅子に…

成長

家に常備してあったインスタントのカフェラテを久しぶりに飲んだ。甘すぎて飲めたものじゃなかった。コンビニの100円のコーヒーにミルクとガムシロップを一つづつ。今の私にはこれでちょうどいい。一口目は甘く。でも甘すぎず。それがちょうどいい。ココアも…

遺伝

朝起きて鏡を見て、気がついた。いつの間にか輪郭が母親そっくりになっている。私は母と父の顔のパーツをばらばらにして組み合わせたような顔をしている。妹は美人な母にそっくりで、弟は輪郭は父似ではあるがこちらもやはり母に似ている。似ていない3姉弟だ…

不調と回復

私はおそらくとてもめんどくさい感覚を持って生きている。なんで私はここにいて、息をしているのか。なぜ皆そのことを疑問に思わないのか。私とはなんなのか。そもそも「私」という言葉すら私には馴染まない。周りの人間の持つ空気と私の周りにある空気がどう…

願望

きれいな文章が書きたい。きれいな言葉で語りたい。流れるように、届いた人の心にそっと入り込むような、そんな文章が書きたい。あれは高校生のときだったか。意識せずに送ったメールの文章が、川上弘美のようだと言われたことがある。とても素敵な文だった…

安心

私はどうしても相手を困らせていると感じると謝ってしまう癖がある。 それこそ何度も何度も。 謝らなくていい。もう許している。そもそも謝らなければいけないことを君はしていない。 何度そう言われてもなぜだか安心出来ないのだ。 私はどうしても相手に呆…

開け忘れた鍵

今週のお題「ゾクッとする話」 中学生のとき、中学生には当たり前のことかもしれないが学校には出る。という噂がたたあった。特に音楽室。 私は吹奏楽部だったし、吹奏楽部は学校内で一番練習の多い部活だったから毎朝誰もいない頃に音楽室に入り、放課後は…

奏でる

吹奏楽が好きだ。中学生になったとき、迷わず吹奏楽部に入った。そこで合奏とはどんなに素晴らしいものなのかを、耳で、体で、肌で知った。音楽を奏でるとはなんなのか。それは私には分からない。でも、一つ言えることは、吹奏楽においては、一人では絶対に…

感情

学校帰り、生まれて初めて自転車同士でぶつかってしまった。私を追い越そうとする自転車に気がつかず私が右折したことで前輪同士がぶつかったのだ。後ろから聞こえる危ないという声が私に向けて発せられていたものだということに、ぶつかってから気がついた…

ご挨拶

はじめまして。natsumikan5と申します。夏蜜柑と名乗ろうと思います。ここでは私が日々感じた何かを思いついた時に思いついたまま流れるように書き記すところとしたいと思います。もし余裕もあれば本をたくさん読むのでその感想やらも記録できたらいいなと思…