題名のない文章たち

日記のような、そうでないような、そんなただの文章のあつまり

今も眠ったままの貴方へ

一つ言っておきたいことがある。私は私の青春の青い時期のほとんどを貴方に捧げたのだから、そろそろ目覚めて私に別れの言葉を言わせてほしい。

高校二年で心身共になにかきっかけがあったにせよ憔悴しきっていたところを助けてくれて、好意を向けてくれたことも感謝はしているし何より貴方と過ごした時は楽しかった。たとえメールでしかやりとりがほとんどできず、電話で話せるのも数か月に一度でもよかった。

でも悪く言えば、貴方がかつて言ったように、私の視野が狭かったのでしょう。それで幸せなことなのだと思い込んで、楽しかったし欲も少なかった。

 貴方は私を一途だと言った。恐らくそうなのだろう。でも少女漫画や恋愛小説ででてくるような可愛らしい一途な子とは多分違う。私が一途になれたのは貴方しかいなかったからでも、貴方のことが死ぬほと好きだったからでもなく、ただただ嫌われたくなかったから。それだけのこと。だから、貴方に嫌われないようになんでも言うことは聞いた。喜んでもらえたら安心した。貴方以外に嫌われたくない人がいれば同じように振る舞ったはずで、実際貴方の知らないところで他の一途な私は存在している。

 貴方はこんなことを言われたら怒るのか、悲しむのか、それとも両方か。でも私には言う権利がある。今までずっと、なんでも言ってほしいと貴方は私に言ってきていたのだから。

 貴方は知っているだろうか。私が街中の駅で手をつないで歩いている恋人たちを見て、私もあんな風になりたかったのにと羨んでいたことを。想像したことがあるだろうか。貴方はいつかそういう、いわゆる恋人同士がするようなことをしようといつも言っていたような気がするがあれから何年経つと言うのだろう。私の青春はもうすぐ終わろうとしている。いや、ある意味ではもう終わってしまっている。貴方は、私が貴方に青春を捧げたという事実を知っているのだろうか。

貴方は、私が貴方への気持ちを伝えた時にその告白が期限付きのものだったことを覚えているだろうか。今、いやもう随分前から、その期限は過ぎてしまっているのだ。貴方のことも大切ではある。でも、おそらくこの大切というのは恋人に抱くそれとは違ったものだ。もう手をつないで街を歩きたいとは思わない。遠く離れてしまった親友を元気にやっているだろうかと思うものに近い。

自ら一緒にいることを選んでおきながら、散々頼っておきながら、なんて自分勝手なことを言っているのか私には分かっている。分かっているから最後の挨拶くらいさせてもらいたい。他の今までの我侭も欲望も全てなかったことにしていいから、最後の別れくらいは面と向かって一言言わせてもらいたい。貴方を傷つけてしまうこと裏切っていることは許してもらわなくて構わない。むしろ罵ってもらいたい。だから、そろそろ目を覚ましたらどうだろうか。私に一言、別れの挨拶くらいさせてもいいと思う。


どうせ、この願いが本人に届くことはないのだが書かなければいてもたってもいられなかったのでここに記す。


2015/11/07追記

今朝貴方からの、自分の犠牲になってはいけないという言葉で決心がつききちんと別れの挨拶ができた。

今はただ、幸せになってほしいと漠然と思う。これから何年生きていられるか分からないけれど、ただただ笑って幸せに生きていて欲しいと思う。