題名のない文章たち

日記のような、そうでないような、そんなただの文章のあつまり

無力

彼は頭が痛いと私のベッドでずっと眠っていた。ときどき頭の痛みに顔を歪めて寝返りをうつ。私はその隣で何もできずに本を読んでいた。何もしてあげられないのならば、せめて自分のためになることをしようと、読んでいたのだった。

ときどき寂しくなって、彼の肌に触れてみる。
私の手が触れてると分かると彼は、私の頭をなでた。時には抱きしめてきた。彼はそういう人なのだ。

触れてはいけない。私が求めてしまったら彼は必ず答えようとしてしまう。辛いはずなのに。答える余裕などないはずなのに。私に彼の温もりを求める資格などない。

せめて、ゆっくりと眠ってもらえるようにベットから降りて膝を抱えて丸くなる。私は無力だ。無力でなにもできないのならば、せめて邪魔にならないように小さく小さくなりたかった。丸くなって小さくうずくまってただただ息だけしていた。