題名のない文章たち

日記のような、そうでないような、そんなただの文章のあつまり

遺伝

朝起きて鏡を見て、気がついた。いつの間にか輪郭が母親そっくりになっている。

私は母と父の顔のパーツをばらばらにして組み合わせたような顔をしている。妹は美人な母にそっくりで、弟は輪郭は父似ではあるがこちらもやはり母に似ている。似ていない3姉弟だと昔から思っていた。どこか似ているところはあるかと聞くと、鼻だの目のカタチだのいつもばらばらなことを言われた。

でも、やはり親子なのだな、姉弟なのだなと苦笑いしてしまった。中身はまるっきり違う人間が5人。でも見た目はどこか似ている5人。その中で唯一、5人の中から抜け出した私は、今更母や父や妹や弟と同じになろうとしている。不思議なものだ。